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新会長挨拶


中村 艶子

      (同志社大学)



 2021年6月25日(金)~6月27日(日)の第31回労務理論学会全国大会(オンライン開催)理事会にて、理事の互選により第11期の会長に就任することになりました。謹んでご挨拶を申し上げます。2021年、労務理論学会創立30周年という記念すべき素晴らしい年にバトンを受けて学会運営に当たる機会を頂き、身の引き締まる想いです。

 私は1990年代に女性労働研究を志して以来、戦後日本の大学で最も早期に労働経済学研究に入られた女性労働先駆者で、本学会重鎮でもあった竹中恵美子先生(大阪市立大学名誉教授)や、「4Lの充実」などを提唱されワーク・ライフ・バランスや企業組織経営などのご研究で知られる渡辺峻先生先生(立命館大学名誉教授)をはじめ、本学会の多くの先生方の謦咳に接しながら静かに在籍し研究して参りました。今回、思いがけず重責を拝命し戸惑いを覚えておりますが、皆様のご指導を仰ぎつつ、一生懸命務めさせて頂く所存です。どうぞよろしくお願い申し上げます。

 新型コロナウイルス感染症(COVID-19)が2019年12月に報告され、世界中がパンデミックの蔓延によって大打撃を受け、経済、生活、働き方や価値観が変わる大転換期を迎えました。我々の研究活動も制約を受け、2020年度、2021年度の全国大会はオンライン開催となりましたが、理事はじめ関係各位、事務局のおかげで学会活動は滞ることなく継続して行われました。そのご努力は並々ならぬものであり、感謝の気持ちに堪えません。ご尽力下さいました皆様にこの場をお借りして厚くお礼申し上げます。

 第11期の学会運営では、経費節減とワークライフを尊重した「ワークライフ・インテグレーション」を意図して進めて参ります。ワークライフ・インテグレーション(ワーク・ライフ・バランスをさらに包括的にとらえ、社会的要因も加味し統合した概念)を実際の運営にも当てはめて、場所や時間にとらわれない効率的な働き方を実践する運営を展開して参ります。

 既にダイバーシティを意図された前会長(第10期)の清山玲先生および理事・幹事の皆様のご尽力によって、運営体制は教育・校務負担や育児・介護負担と学会活動の両立を意図し工夫されています。全国大会のプログラム委員長は2人から3人へと変更されて、3年間の任期中に各1回の担当で企画運営管理に注力できる体制や、編集委員長や大会開催校の負担軽減の仕組みづくりも行われています。

 今期もその内容を尊重し踏襲するとともに、新型コロナ感染症を機に導入されたオンライン会議やメール審議を駆使して理事会や各種打合せ等の運営を無理なく円滑に進行して参ります。これまで同様に学会を有意義で実践的な内容とするために、他学会や他団体や社会保険労務士などの方々との交流を継続し、また、若き研究者にも一層魅力的な学会となるよう学際的プログラム内容を工夫して参ります。

 労務理論学会全国大会での創立30周年記念イベントでの谷本啓会員のご報告にもありましたように、本学会設立者のお一人である島 弘先生(同志社大学 商学部名誉教授)のお言葉をお借りするならば、「企業は人間の幸福のために存在するのであって、人間が企業のために存在するのではない」のです。個々人が日々の生活で幸福を感じられる社会を形成していけるように、そのための経営や社会制度に我々の研究が反映されるよう研鑽を積んでいく必要があります。  

 そのような研究意欲で今後も切磋琢磨できるよう、そして労務理論学会の未来が益々発展していけるよう、理事・幹事一同、懸命に努力して参ります。会員の皆様方には、どうぞ温かいお力添えを賜りますよう心よりお願い申し上げます。

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