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​労務理論学会概要

 日本労務理論学会は海道 進(初代会長、神戸大学名誉教授)、木元進一郎(第2代会長、明治大学名誉教授)、長谷川 廣(中央大学名誉教授)、島 弘(第3代会長、同社大学名誉教授)とその他12名の研究者によって設立された。設立大会は、1991年5月10日、中央大学の駿河台記念館でおこなわれた。
2006年6月現在、約300名の個人会員がいる。
 本学会の設立目的は「経営労務のアカデミックな理論的研究であって、たんなる実務的研究ではない」。このことは「学問発展の原動力である批判精神は本学会の真髄である」ということを意味している(海道 進、『労務理論学会研究年報』第1号、1991年)。「批判精神」、これがわが学会の偉大なる伝統であり、自他共に認める独自性である。
 (1991年3月20日「労務理論学会設立趣意書」)

 設立以来15年、毎年6月前後に全国大会を開催し、労働者の雇用と労働をめぐる諸問題について,実態的研究,歴史的研究,国際比較研究,および理論的研究を重視してきた。
 これまでの大会の統一テーマと開催大学は以下の通りである。

※各回をクリックで統一論題報告者と報告テーマ一覧へ。さらにリンク先ページの各回から自由論題報告を含めた全報告タイトル・発表者がPDFでご覧いただけます

 


第1回(1991年):「日本的経営の中での労務問題」(中央大学)
第2回(1992年):「国際化と現代の労務問題」(名城大学)
第3回(1993年):「日本型企業社会と労務管理」(札幌大学)
第4回(1994年):「労働市場の流動化と労務管理」(関西大学)
第5回(1995年):「ホワイトカラーの労務管理」(明治大学)
第6回(1996年):「日本的経営の変貌と人事労務管理」(関西学院大学)
第7回(1997年):「規制緩和と経営労務」(駒沢大学)
第8回(1998年):「日本の雇用形態の変化」(同志社大学)
第9回(1999年):「地域産業と雇用開発」(東京農業大学オホーツクキャンパス)

第10回(2000年):「メガ・コンペティション下の雇用・労働問題の変容」(日本大学商学部)
第11回(2001年):「IT革命と経営労務」(立命館大学びわこ・くさつキャンパス)
第12回(2002年):「現代の雇用問題」(岩手大学)
第13回(2003年):「人事・雇用システムの転換と労使関係」(広島修道大学)
第14回(2004年):「経営労務の新しい課題」(九州大学)

第15回(2005年):「モノづくりの危機と現代職業訓練」(作新学院大学)
第16回(2006年):「『新・日本的経営』のその後」(中京大学)
第17回(2007年):「企業の社会的責任と労働」(明治大学)
第18回(2008年):「先進5カ国の人事労務管理」(金沢大学)

第19回(2009年):「現代日本の働き方を問うー規制緩和下の労働と生活ー」(駒沢大学)
第20回(2010年):「経営労務と労使関係の新局面」(龍谷大学)
第21回(2011年):「若者の雇用と人材育成」(中央大学)

第23回(2013年):「労務理論の再検討」(日本大学)

第24回(2014年):「雇用の大選別時代における人事労務管理」(名城大学)

第25回(2015年):「現代資本主義企業と労働時間」(茨城大学)

第26回(2016年):「HRMの多様性? -アメリカ型HRMにオルタナティブはあるのか-」

          (愛媛大学)

第27回(2017年):「賃金のあり方を考える -同一価値労働同一賃金と賃金水準-」

          (諏訪東京理科大学)

第28回(2018年):「働き方改革と「働きがい」のある職場」(同志社大学)

第29回(2019年):「人手不足下の労働問題と人事労務管理」(札幌学院大学)

第30回(2020年): 自由論題のみでオンライン開催(福岡大学)

第31回(2021年):「人事労務研究の国際比較-その動向と展望」オンライン開催(福岡大学)

第32回(2022年):「ダイバーシティ・マネジメントと人事労務管理」(拓殖大学)
第33回(2023年):「『失われた30年』と人事労務管理」(沖縄大学で開催予定)


 当学会はバブル崩壊直前に設立されたわけで、上にみられるように統一テーマも報告内容も時代状況から強く影響を受けている。しかし「批判的精神」を学会のアイデンティティーないしはレーゾンデートルとする私たちは、その批判精神に裏付けられながら時代の矛盾を直視し、時代を前に進めていく、そのような質の高い研究を一環として追究してきた。

 特に、1999年からは、若い研究者たちの研究を奨励するということを目的に、学会賞(研究奨励賞)を設立し、翌2000年度からは、「レフリー制」を導入し研究論文を一般募集する制度を採用した。さらに2001年度からは、私たちの研究を世に問うていくこと、世に大きく発言していくこと、これを目的に、それまでの『年報』を『学会誌』に名称変更し、一般書店でも購入できるように「市販化」した。
 このように努力を続けてはきたが、十分ではない。時代はますます加速しながら激しく変化しており、それに比例するかのように、総力をあげて研究しなければならない課題が山積しているからである。あらゆる権威から自由に研究し、発言していく、そのような小さくともキラリと光る魅力ある学会にむけて、私たちに課せられた重大な責務である。

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